シンガポールの法制度について

シンガポールは元々イギリスの植民地であったことからコモン・ロー(Common Law)という裁判の判例をもとに法解釈がされる制度を引き継いでいますが、日本の様な成文法も整備されてきています。コモン・ローでは口頭での合意も契約となりえますが、シンガポールの不動産取引に関しては書面による契約でなければ裁判にて証拠として認められないというということです。ということですので、契約だけに限らず、家主側と何らかの交渉等をした際には書面にて確認することを肝に銘じておいてください。


賃貸契約に至るまでのステップ

  1. 基本条件交渉
  2. 不動産登記の確認
  3. エージェントのライセンスの確認
  4. 仮契約書(LOI=Letter of Inten)のドラフト、交渉、合意
  5. 賃貸契約書のドラフト、交渉、合意


もう一度おさらい

基本条件交渉

気に入った物件が数軒に絞られたら、それに優先順位をつけて条件交渉を行います。通常基本条件を提示すると割とすぐに(数時間から1日の内に)回答が出てきますので、数軒まとめてオファーするよりも1軒毎の方が良いと私自身は思っています。というのは複数同時にオファーして全部の家主からOKが出てきた場合、2番手・3番手を断らなければなりません。その場合、相手のエージェントから相当文句を言われる可能性があります。

基本条件の提示は書面で確認を

つまり、『家主にOKを取ったのに、他に決めたというと家主の自分への信頼を失ってしまう』という理由です。エージェントは義務としてすべてのオファーを顧客に伝える必要があります。

ただ何度も『これで決められるので最終判断を』と仰いでも、決められなかった場合、このエージェントは役に立たないと見限られてしまうからです。急ぎの場合や甲乙つけがたい場合等は、先方のエージェントに他にもオファーしていることを伝えた方が良いです。勿論テナントのエージェントが居ればこの辺はエージェントに任せればよい話です。

では次に基本条件には何が必要か以下列記します。これは電話でも良いですが誤解を避けるために、メッセージやメールにて先方へ合わせて伝えるようにします。

  1. 会社契約/個人契約-通常家主は会社契約を好みますが提示条件にもよります。
  2. 契約期間ー通常は2年ですが、1年契約も提案可能です。勿論法規上は最低3か月ですが通常の家主は最低でも1年契約までしか検討しません。短い場合は短期(Short-term)可として掲載されている物件をあたりましょう。
  3. 契約開始日ーつまり家賃の支払いが発生する日となります。勿論家主は早い方を好みます。これと併せて引き渡し日をいつ希望するか持伝えた方が良いでしょう。契約開始日の1から2日前でもOKする家主は結構おります。
  4. レントー毎月支払う賃貸料ですが、最初から最大限でオファーするよりは少し低めに交渉の余地を残した方が良いかと思います。
  5. リクエストー当該ユニットの現状に改善や追加してほしいもののリストです。具体的には家具や電化製品の追加(取替も含む)、設備上の改善や追加などです。詳しくは【契約前と入居時のチェック事項】のページで、第6~7項で説明していますので参照してください。


不動産の登記とエージェントのライセンス確認

仮契約書にサインする前に必ず行わなければならないのは、当該不動産の登記と家主エージェントのライセンス確認です。稀にですが、家主と偽って賃貸契約し手付金や保証金をだまし取るというケースもあります。また正規のエージェントを装い、やはり保証金等をだまし取るというケースもあります。こういう詐欺にあわないためにも、この確認は必要です。

不動産登記のサンプル

《不動産登記の確認》

免許を持ったエージェントは当然不動産の登記等で家主が誰なのか確認する義務がありますので、テナント側のエージェントを使っている場合は大丈夫だと思いますが家主側エージェントと直接交渉する場合は注意が必要です。正当な家主が誰なのかはInlisというサイトで調べることが出来ます。

出てくるページで最初の項目“Property Ownership Information $5.25”を選び必要事項を記入し、$5.25をクレジットカード等で支払うと登記記録がダウンロードできます。3ページ位のレポートですが、家主の名前やIC番号等が最後の方に出てきます。たたし新築物件等一部で登記移転に時間がかかりディベロッパーが家主として出てくる場合があり、その場合は家主側に何か代わりの証明になるものを出してもらうよう要求してください。

《不動産エージェントのライセンス確認》

エージェントは不動産取引に関する仕事に従事している時は、免許証を常に携行しなければならないと規定されております。その免許証を見せてもらい、その写真を撮るかあるいはライセンス番号の記載のある名刺を貰いましょう。

契約締結やお金の支払いなどをする前の早い段階で、CEA(Council for Estate Agencies:不動産仲介業者や不動産エージェントを監督する政府の機関)のホームページのPublic Registerにてそのエージェントが登録されているか確認しましょう。エージェントの名前、ライセンス番号、電話番号などでも検索できます。

仮契約書

不動産登記とエージェントのライセンス確認ができましたらすぐに仮契約書をドラフトします。テナント側エージェントが居る場合は、そのエージェントが準備しますので心配は入れませんが、ご自身で行う場合には別ページ(準備中)の契約書を参考に作成してください。家主側のエージェントが雛型を提供してくれる場合には、上記に照らし合わせて大事なことが抜けていないか確認してください。基本条件で交渉した内容の他に、以下のような事項が記載されます。

仮契約書サンプル

  1. 手付金と保証金の支払いー手付金はレント1か月分で仮契約書サイン時に、レント2か月分(契約期間が1年の場合は1か月が標準です)の保証金は賃貸契約書サイン時に支払います。
  2. 電話、インターネット、水光熱費ーこれは通常テナント負担となります。
  3. エアコンの定期清掃ー通常テナントの義務となるもので3か月に一度の年4回の年間契約を義務付けられます。予算に余裕がある場合、家主負担とすることもあります。
  4. 少額修理条項ー契約開始から1か月間は家主の保証期間で不具合があった場合は家主負担で修理されるのが標準です。それ以降は修理1か所につき$150($200や$250と言う家主もいます)まではテナント負担となるという条項です。
  5. ディプロマティック条項―海外転勤等の理由の場合、2年契約でも1年経過後2か月の通知期間(つまり14か月分は家賃支払い義務がある)で解約できるという条項が標準です。
  6. 賃貸契約書ー仮契約書はあくまで暫定の契約書で、正式の賃貸契約書がサインされなければ賃貸契約は成立しないのが標準です。賃貸契約の条件で合意できない場合は、取引はキャンセルされ手付金が返済されるのが標準です。ただテナント側が別の物件に心変わりしたというような場合は手付金は没収されることになります。
  7. 引き渡時までに家主側が行う事項ー部屋の清掃、エアコンのメンテや設備がきちんと作動するか等を記載しています。
  8. リクエスト事項ー合意したリクエストの内容をきちんと記載します。

賃貸契約書

賃貸契約書は、入居中に起こる可能性がある細かいことを規定しています。細かい内容は別ページの契約書(準備中)の所で詳しく解説しますが、例えば以下のようなことが記載されます。

賃貸契約書サンプル

  1. レントの支払い方法ー毎月何日にどこの口座へ振り込み等々。
  2. テナントの義務―レントと保証金の支払い、家具や室内のメンテ、増改築の禁止、転貸の禁止、危険物保管の禁止、新テナント候補や物件購入者への内見許可、ビザ更新等、退去時の明け渡し義務等。
  3. 家主の義務ー固定資産税等の税金の支払い、火災保険の加入(但しテナントの所有物はカバーされない)、建物構造等のメンテ、エアコンの故障等の費用負担等。
  4. その他事項ーレント支払い遅延に関して、火災や天災等で居住不可の場合に関して、契約更改について、ディプロマティック条項、当該物件内での事故の責任等です。
直ぐに役立つ情報はこちら

仮契約書(LOI = Letter of Intent)

賃を正式な貸契約を締結する前に、基本条件等を記載した仮契約書となります。これに家主がサインすれば、仮押さえできることになります。では各条文がどういう意味を持つかを解説し、注意すべき点を説明いたします。

賃貸契約書

賃貸契約書に双方がサインすると、契約が締結されたことになり後戻りはできません。では各条文がどういう意味を持つかを解説し、注意すべき点を説明いたします。

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